データ入稿

公開schedule 2025年11月2日 / 更新schedule 2025年11月2日

【色校正ガイド】意味と種類を解説！修正のやり方・流れとは

細かく調整したデザインデータの色が、果たして印刷物で忠実に再現されるのか？この不安を解消し、発注者と印刷会社の「色の認識」を合わせるための工程が「色校正」です。読み方は「いろこうせい」で、「色校（いろこう）」とも呼ばれます。

【色校正の基礎知識】

色校正は、本刷り前に色の再現性を確認する「試し刷り」のこと
ブランドカラーや商品カタログなど色が重要な意味を持つときは不可欠
現在の主流はDDCPだが、精度を求めるなら本機校正が必要
用紙やインクの特性上、DDCPでは確認が難しいケースもある

本記事では、色校正の基本知識から、種類とメリット・デメリット、コストパフォーマンスを考えた使い分けまで、網羅的に解説します。この記事を読めば、色校正の重要性を理解し、色の失敗で後悔しないための的確な判断ができるようになりますよ。

色校正の意味・目的とは？

色校正とは、本番の印刷（本刷り）前に、仕上がりの色味が意図した通りになっているかを確認・検証する試し刷りのことです。単に校正（こうせい）と言う場合は、文字の誤字脱字やレイアウトのズレなどをチェックする「文字校正」や「内容校正」を指すことが多く、「色校正」は特に色に特化した校正作業を指します。

色校正は「色の共通認識」をもつための作業

最大の目的は、発注者（デザイナーや企業担当者）と印刷会社の間で「色の共通認識」をすり合わせることです。パソコンモニターは光で色を表現するRGB、印刷はインクで色を表現するCMYKと、色の表現原理が異なります。色校正は、モニターと印刷の差を埋め、本番印刷における色見本を作るため非常に重要な工程です。大量印刷後の「こんなはずじゃなかった」という致命的な失敗を防ぐことができます。

＞CMYKの詳細解説をよむ

＞RGBの詳細解説をよむ

アナログ原稿が主流だった時代から、デジタルデータ入稿が当たり前になった現代に至るまで、色校正の重要性は変わりません。むしろ、誰もがモニターでデザインを作るようになったからこそ、最終的な印刷物とのギャップを埋める色校正の価値は高まっています。

色校正のタイミングと流れ

色校正は、デザインデータを印刷会社に入稿した後、本刷りを開始する前に行われます。印刷通販ではオプションサービスとしての提供が多く、必要な場合は発注時に申し込みましょう。色校正のOKが出て初めて、本番の印刷工程へと進みます。

STEP1：印刷の発注とデータ入稿

印刷を発注し、完成したデザインデータを入稿します。オプションに色校正があれば同時に申し込みます。

STEP2：印刷会社による校正紙の作成

入稿データをもとに、印刷会社が試し刷り（校正紙）を作成しお客様の元へ発送します。

STEP3：校正紙の確認と承認（校了）

手元に届いた校正紙で、色味や文字、レイアウトなどを入念にチェックします。問題がなければ、印刷会社に「校了（こうりょう）」^※の連絡をします。

※校了：校正が完了し、本番の印刷に進んで良いという承認のこと

STEP4：本刷り開始

お客様からの校了連絡を受けて、初めて本番の印刷工程がスタートします。

色校正の種類とメリット・デメリット

色校正にはいくつかの種類があり、それぞれ精度とコストが異なります。目的に応じて最適な方法を選びましょう。

本機校正（ほんきこうせい）

最も精度の高い色校正です。実際に本番の印刷で使用する印刷機、本番と同じ用紙とインクを使って刷り上げます。

メリット：仕上がりとの差がほとんどなく、最も信頼性が高い

デメリット：印刷機を一台動かすため、非常に高コストで時間もかかる

平台校正（ひらだいこうせい）

本機ではなく、色校正専用の印刷機（校正機）を使って刷る方法です。インクや用紙は本番に近いものを使用します。

メリット：本機校正よりは安価で、高い精度が得られる

デメリット：本機校正より安価だが、本機との微妙な差は生じる可能性がある

DDCP（DirectDigitalColorProofing）

主流の色校正です。デジタルデータから直接、専用のインクジェットプリンターで出力します。印刷機の特性をシミュレートするカラーマネジメントが施されており、本刷りの色を高い精度で再現します。

メリット：比較的安価でスピーディー、安定した品質が得られる

デメリット：インクジェット出力のため、紙の質感や特色（金・銀など）の再現は不可

簡易校正（かんいこうせい）

オフィスにあるような一般的なプリンターや、カラーマネジメントされていないプリンターで出力するものです。PDFデータなどを画面で確認する「モニター校正」もこれに含めることがあります。

メリット：ほぼ無料で、すぐに確認できる

デメリット：色は参考にならない、文字やレイアウトの確認に使われる

色校正時に見るべきチェックポイント

色校正紙が手元に届いたら、以下のポイントを重点的にチェックしましょう。

全体の色調（トーン）

デザインの意図（暖色系、寒色系、落ち着いた感じなど）が表現できているか

肌の色

人物写真がある場合、血色が悪く見えたり黄ばんで見えないか

ブランドカラーやロゴの色

企業の規定色や、ブランドイメージを損なう色になっていないか。最も厳密にチェックすべき点

商品の色

アパレルや化粧品などの外観。色そのものが重要な商品の場合は、実物と見比べて違和感がないかや消費者に誤解を与えないか

文字の可読性

背景色に文字が沈んで読みにくくなっていないか。特に細い文字や小さな文字は要注意

モアレの発生

画像のドットと印刷の網点が干渉して、意図しない縞模様（モアレ）が発生していないか

色校正の使い分け・注意点

全ての印刷物で高価な色校正が必要なわけではありません。色校正が「必要な例」「不要な例」「難しい例」を具体的に解説します。

色校正が【特に必要】な例

厳密な色が求められる企業のロゴやブランドカラー
化粧品やアパレルなど、色が購買意欲を左右する商品カタログ
美術品や絵画、写真集など、作品の再現性が問われるもの
数万部を超えるような、失敗が許されない大量ロットの印刷物
初めて取引する印刷会社で、その会社の色再現の傾向を知りたい場合

色校正が【不要な】場合もある例

社内資料やモノクロ印刷など、色の厳密性が求められないもの
色の再現性より、コストとスピードを優先したい小ロットの印刷物

色校正が【難しい・本機校正が必要な】例

特殊な用紙への印刷
和紙やクラフト紙、色のついた紙など、特殊な風合いを持つ用紙はインクの沈み方や紙自体の色が最終的な発色に大きく影響します。DDCPではこの紙の質感を再現できないため、本機校正でないと正確な色は確認できません。
特色（金・銀・蛍光色など）を使う印刷
特色インクの持つ独特の輝きや鮮やかさは、CMYKのインクを掛け合わせるDDCPでは再現不可能です。DDCPでは近似色が出力されるだけで、実際の仕上がりとは全く異なります。
印刷方式が異なる場合
例えばオフセット印刷の仕上がりをシミュレートしたDDCPで校正し、本番はデジタル印刷機で刷るといったケースでは印刷方式の違いから色の差が出やすくなります。