プロセスカラーとは商業印刷における最も標準的な色の表現方法であり、チラシや雑誌・ポスターなどあらゆるカラー印刷物の根幹をなしています。「プロセス4色」とも呼ばれます。プロセスカラー印刷ではCMYKカラーが用いられ、フルカラー写真など多色・階調表現が得意です。
【プロセスカラー基礎知識】
| 印刷方式 | 色の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)+黒を掛け合わせる |
| 用途 | 写真や複雑なイラストの印刷に適している |
| データ入稿 | 一般的な印刷では特色やRGBからプロセスカラー(CMYK)への変換が必須※色の変化に注意 |
| プロセスカラー印刷 | 商業印刷の標準形式であり安定した品質で製造可能 |
本記事では、プロセスカラーの基本的な原理から混同されがちな「特色」や「DICカラー」との違い、データ作成時の具体的な注意点までわかりやすく解説します。
プロセスカラーとは網点による色の表現
プロセスカラーがどのような仕組みで色を表現しているのか、基本原理から見ていきましょう。
プロセスカラーはCMYKカラーで構成される
プロセスカラーとは、限られたインク色を使い、色の掛け合わせによって多種多様な色を表現する表現方式です。使用する基本色4つを「プロセス4色」と呼びます。
- C:Cyan(シアン、明るい青緑)
- M:Magenta(マゼンタ、明るい赤紫)
- Y:Yellow(イエロー、黄色)
- K:Key Plate(キー・プレート、一般的には黒/Black)
つまり、プロセスカラーとは実質的にCMYKカラーを指します。
なぜ「プロセス(Process)」と呼ばれるの?
CMYKインク4色を擦り重ねて、目的の色を擬似的に作り出す「工程(プロセス)」に由来します。
網点(あみてん)と呼ばれる微細な「点」の大きさや密度を調整し刷り重ねており、美術の技法である点描画をイメージすると分かりやすいでしょう。遠くから見ると様々な色で描かれた絵に見えますが、近づいてみると実際には限られた色の点の集合体です。
プロセスカラーは、私たちの目が小さな点の集合体を一つの色として認識する視覚効果を利用しています。
プロセスカラーを示すカラーコードは存在しない
光の三原色であるRGBで使われる「#00479D」といった16進数カラーコードは、一般的にWebデザインで使用されます。プロセスカラー(CMYK)の値を直接的に示すカラーコードは存在しません。
プロセスカラーを指定する場合は、CMYKインクの含有率(0〜100%)を使います。
【例】C:100、M:80、Y:0、K:0
デザインソフト上では近似色としてカラーコードが表示されますが、あくまでモニター上の表現であり印刷色を正確に定義するものではないと理解しましょう。
「プロセスカラー」「特色」「DICカラー」のちがい
プロセスカラーを理解する上で、混同されやすいのが特色やDICカラーです。それぞれの役割を明確に区別し違いを理解しましょう。
プロセスカラー・特色のちがい
| 項目 | プロセスカラー(CMYK) | 特色(スポットカラー) |
| 原理 | 4色インクの網点を掛け合わせて色を作る | 特定の色にあらかじめ調合された単一のインクを使う |
| 得意な色 | フルカラー写真など多色・階調表現が得意 | 金・銀・蛍光色などCMYKでは出せない鮮やかな色を表現 |
| 色の安定性 | 印刷時の環境・条件で若干の色のブレが生じる可能性がある | 常に安定した同じ色を再現できる |
| コスト | 比較的安価 | 割高になる傾向あり |
| 主な用途 | 写真、イラスト、カタログ、チラシ | ロゴ、パッケージ、ブランドカラーの指定 |
プロセスカラーが4色のインクを混ぜて色を作る方法であるのに対し、特色は金色のインク缶をそのまま使う方法です。色の正確性や一貫性が求められるロゴやブランドカラーには特色、写真や複雑なイラストにはプロセスカラーが適しています。
参考:スポットカラーとプロセスカラーの違いを学ぶ|Adobe
プロセスカラー・DICカラー・DICプロセスカラーノートのちがい
同じDICがつく言葉でもそれぞれの役割は全く異なります。
| 項目 | プロセスカラー | DICカラー | DICプロセスカラーノート |
| 定義 | CMYKの4色を掛け合わせた色 | DIC社が製造する特色インクまたはその色見本帳 | CMYKの配合率ごとの印刷結果を並べた色見本帳 |
| 目的 | 写真など多色を効率よく低コストで表現する | 特定の色を正確・忠実に再現する | CMYKの配合率ごとの印刷色を確認したり、希望色の指標にする |
| 色の指定方法 | CMYK値 | 色番号(例:DIC150番) | 収録色番号やCMYK値 |
- プロセスカラー
CMYK値を用いて印刷する方式です。
日本の印刷業界で古くから使われるDIC社の特色インクです。「DIC〇〇番の色」と指定すると、プロセスカラーではなく特色で印刷する意味になります。
プロセスカラーで印刷する際のシミュレーションツールです。「C100%とM80%を掛け合わせると、紙の上ではこんな色になる」というのを、あらかじめ印刷して見せてくれる色見本帳です。デザイナーはこれを見て、CMYKの数値を調整します。
この3つは明確に役割が違うと覚えておきましょう。
プロセスカラーのメリット・デメリット
プロセスカラーのメリット・デメリットを解説します。
【メリット】
フルカラーの写真や複雑なグラデーションを持つイラストなどを、比較的低コストで美しく表現できます。4色のインクで無限に近い色数を再現でき、あらゆるカラー印刷の標準技術として広く採用されています。
【デメリット】
原理上、印刷する日の気温や湿度、印刷機の状態によって微妙な色のブレが生じる可能性があります。「前回の増刷分と色が少し違う」と感じるのはこのためです。金色や銀色、蛍光色といった特殊な色は表現できず、鮮やかな特定の色域(ビビッドなオレンジなど)は、特色やRGBに比べてくすんで見える傾向があります。
具体的な活用例
- 商品写真や人物写真が掲載されたカタログ、パンフレット
- グラデーションや多くの色を使ったイラスト入りのチラシ、ポスター
- 雑誌、書籍の本文や表紙
- フルカラーの写真を使ったシール、ラベル
印刷データ作成時の注意点
デザインデータを入稿する際、最もトラブルになりやすいのがカラーモードの扱いです。代表的なデザインソフト(AdobeIllustrator/Photoshop)を使った変換方法と、制作時の注意点を解説します。
特色をプロセスカラーに変換する方法
コストの都合や、特色が使えない印刷条件の場合、デザインデータ上で設定した特色をプロセスカラー(CMYK)に変換する必要があります。
【AdobeIllustratorの場合】
- メニューバーからウィンドウ>スウォッチを選択し、スウォッチパネルを表示します。
- 変換したい特色のスウォッチをダブルクリックします。(特色のスウォッチは、右下に白地に黒丸のアイコンがついています)
- スウォッチオプションのダイアログが表示されたら、カラータイプを特色からプロセスカラーに変更します。
- カラーモードがCMYKになっていることを確認しOKをクリックします。
【変換時の注意点:色域(ガモット)の違い】
この操作を行うと特色で表現するはずの色が、プロセスカラーに置き換わります。多くの場合、元の特色よりも彩度が落ちくすんだ色合いに変化します。変換後は必ず見た目の変化を確認し、必要であればCMYKの数値を調整してできる限りイメージに近い色を目指しましょう。
【参考】
色域外カラーのプリント可能カラーへの変換|AdobeIllustrator
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