「会社のロゴを印刷するたび微妙に色味が違う…」
「金色や銀色、蛍光色を使ったインパクトのあるシールを作りたい」
この課題を解決し、ブランドイメージを揺るぎないものにするための鍵が「特色印刷」です。
【特色の基礎知識】
- 特色とは常に安定した色を再現するための特別な調合済みインク
- 色指定にはDICやPANTONEなど世界共通の色見本帳を使う
- ブランドカラーの統一や、金・銀・蛍光色など特殊表現に活用
- ソフト上で特色設定を行い、物理的な色見本帳で色の確認が重要
本記事では、CMYK印刷では表現できない特別な色を実現する「特色」について、基本原理からメリット・デメリット、データ作成時の具体的な注意点まで分かりやすく解説します。
この記事を読めば、特色を正しく理解でき、企業のブランド価値を高めるワンランク上の印刷物を制作できます。
特色印刷とは?CMYKで出せない色を表現する特別なインク
特色印刷を理解するために、まずは仕組みと色の指定方法の基本を解説します。
特色の原理:あらかじめ調合されたインク
特色(別名:スポットカラー)は、特定の色のためにあらかじめ専門メーカーによって調合された単色の特別なインクです。
\豆知識/
特定の色のためにあらかじめ専門メーカーによって調合する作業を印刷業界では「調肉」といいます!
一般的に印刷に使用されるCMYKと色の表現方法を比べてみましょう。
CMYK | C、M、Y、Kの4色のインクの網点(ドット)を掛け合わせて様々な色を表現する |
特色 | その色そのものが一つのインクとして存在する |
料理に例えるなら、CMYKが「塩・砂糖・酢・醤油を混ぜ合わせて味を作る」方法だとすれば、特色は「プロが作った完成品の秘伝のタレをそのまま使う」ようなものです。誰がいつ使っても味がブレないのと同様に、特色インクを使えば印刷会社や時期が異なっても常に安定した同じ色を再現できます。
参考:RGBを原色とする減法混色とCMYを原色とする加法混色|北岡明佳(立命館大学総合心理学部)
特色印刷の具体的な活用例
- 企業のロゴマークやシンボルカラー(名刺、封筒、会社案内など)
- 商品のパッケージデザイン(店頭で目立たせたい、ブランドカラーを統一したい場合)
- 高級感を演出したい招待状やパンフレット(金や銀を使用)
- 注意喚起やアイキャッチ効果を狙ったシール・ラベル(蛍光色を使用)
特色印刷のメリット・デメリットと具体的な活用例
特色印刷には明確な強みがある一方で、注意すべき点も存在します。メリットとデメリットを正しく理解し効果的に活用しましょう。
メリット
- 色再現の正確性と一貫性
企業のブランドイメージを司るコーポレートカラーなど、常に同じ色を維持したい場合に便利です。印刷会社や媒体が変わっても、色番号で指定する限り常に同じ色で表現できます。
- CMYK色域外の鮮やかな色表現
CMYKインクの掛け合わせでは表現しきれない、鮮やかなオレンジや深い青、明るい緑などを美しく再現できます。デザインの表現の幅が大きく広がります。
- 金・銀・蛍光色などの特殊な表現
メタリックインク(金、銀、銅など)や蛍光インク(ネオンカラー)といった光輝性や強い彩度を持つ特殊なインクは特色でしか印刷できません。高級感やインパクトを演出したい場合に不可欠です。
- ベタ面の美しい仕上がり
広い面積を単色で塗るベタ面において、ムラが出ず均一で滑らかな美しい仕上がりになります。
デメリット
- コストが割高になる
CMYKの4色に加えて特色インクを使う場合、印刷機にかける「版(はん)」が1枚追加で必要になります。さらに特色インク自体の費用、印刷後の機械洗浄にも手間がかかるなど全体的なコストはCMYK印刷よりも高くなる傾向があります。
- フルカラー写真の再現には不向き
特色はあくまで単色インクのため、自然な風景や人物の肌など無数の色が複雑に混ざり合うフルカラー写真の再現には不向きです。フルカラーにはCMYK印刷が活用されます。
【比較】特色・CMYK・RGBの違い
カラーモードの特徴を一覧表で比較してみましょう。
特徴 | 特色(スポットカラー) | CMYK(減法混色) | RGB(加法混色) |
原理 | あらかじめ調合された単色のインクを使用 | C、M、Y、Kの4色インクの掛け合わせで色を表現 | R、G、Bの3色の光の組み合わせで色を表現 |
主な用途 | ロゴ、パッケージなど厳密な色再現が必要な印刷 | 一般的な商業印刷(チラシ、ポスター、雑誌など) | Webサイト、モニター、スマートフォン画面など |
色の指定 | DIC、PANTONEなどの色番号 | Cyan、Magenta、Yellow、Keyplate(Black)のパーセンテージ | Red、Green、Blueの強さ(カラーコードなど) |
メリット | 色の再現性が非常に高く、特殊な色も表現可能 | フルカラー写真の再現に適し、品質が安定している コストが比較的安い | 鮮やかで幅広い色域を表現できる |
デメリット | コストが割高で、多色表現には不向き | 色の再現範囲が狭く、ブレが生じることがある | そのままでは印刷には不向き |
ブランドにとって色の統一性は生命線です。このブレを防ぐために特色が存在します。
CMYKは「減法混色」
CMYKは、Cyan(シアン)・Magenta(マゼンタ)・Yellow(イエロー)の「色の三原色」にKeyplate(キー・プレート※一般的に黒インクのこと)を加えた4色のインクを指します。一般的なチラシやポスター、雑誌などの商業印刷で用いられるカラーモードです。
RGBとは対照的に、色を混ぜ合わせるほど暗くなり黒に近づく「減法混色(げんぽうこんしょく)」の原理に基づいています。白い紙に絵の具を混ぜると、色が濁って黒に近づくのと同じです。理論上はCMYの3色を混ぜると黒になりますが、完全な黒にはならないため、輪郭などをはっきりと表現するためにK(黒)インクが加えられています。
参考:RGBを原色とする減法混色とCMYを原色とする加法混色|北岡明佳(立命館大学総合心理学部)
RGBは「加法混色」
RGBは、Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)の「光の三原色」を指します。パソコンのモニターやスマートフォンのディスプレイ、デジタルカメラやテレビなど、光を発して色を表現する機器で用いられるカラーモードです。
CMYKとは対照的に、色を混ぜ合わせるほど明るくなり最終的に白に近づく「加法混色(かほうこんしょく)」の原理に基づいています。暗い舞台に赤・緑・青のスポットライトを当てると、光が重なった部分がより明るく白っぽく見えるのと同じです。3色の光がすべて最大限の強さで混ざると「白」になり、すべての光が存在しない状態が「黒」として表現されます。
参考:加法混色(Additive color mixture)|日本知能情報ファジィ学会
特色を使わないとどうなる?
特色で指定すべきロゴカラーなどを、CMYKで印刷した場合どのような問題が生じるでしょうか。
- 色がくすむ・濁る
本来の鮮やかな色が、CMYKで再現できる範囲の近似色に置き換えられ、彩度が落ちてしまいます。実際のデザインよりも暗く、地味な印象になるでしょう。
- 色が毎回ブレる
印刷する日の気温や湿度、印刷機の個体差、オペレーターの技術によってCMYKのインクの乗り方が微妙に変化し見え方に影響します。「前回の印刷物と色が違う」など違和感を感じる頻度が増すでしょう。
特色の指定に必要な情報
色見本帳の名前+色番号(例: DIC_220、PANTONE_185_C)の形式を使って特色を指定しましょう。
印刷会社に依頼する際は、色見本帳の番号を正確に伝える必要があります。例えば「青」や「赤」といった曖昧な指示や、画面上で見える色を表すカラーコード(例: #00479D)だけでは意図した色を再現することはできません。
参考:スポットカラーとプロセスカラーの違いを学ぶ|Adobe
色見本「DIC」と「PANTONE」とは?
特色インクの指定には「色見本帳(カラーチャート)」を使います。世界中のデザイナーや印刷会社が共通の認識で色をやり取りするため、色の辞書のような役割があります。
代表的なのが「DIC」と「PANTONE」です。
DICグラフィックス株式会社が製造している色見本帳で、特に日本の印刷業界で古くから標準的に使われています。「DIC_150番」のように番号で色を指定します。日本の伝統色シリーズなど、国内のニーズに合わせた豊富なカラーバリエーションが特徴です。
アメリカに本社を置くPantone社が提供する世界的に最も広く使われている色見本帳です。デザイン、ファッション、工業製品など、業界を問わずグローバルな色の標準として利用されています。「PANTONE_293_C」のように番号とアルファベットで指定します。
データ作成時の注意点
企業のロゴカラーなどを正確に再現したい場合や、金・銀・蛍光色といった特殊な色を使用したい場合、その色を「特色」として特別に設定する必要があります。代表的なデザインソフト(AdobeIllustrator/Photoshop)を使った指定方法と、制作時の注意点を解説します。
■特色(スポットカラー)の指定方法
ドキュメント全体の色設定を変更するのではなく、使用する特定の色に対して「これは特色インクで印刷する色です」という指示をデータ上で定義する作業です。
【Adobe Illustrator の場合】
Illustratorはロゴや図形を扱うのに適しており、特色指定の中心的なソフトです。
- メニューバーから ウィンドウ>スウォッチライブラリ>カラーブックと進み、使用したい色見本帳(例:DICカラーガイド、PANTONE+SolidCoatedなど)を選択
- 色見本帳のパネルから指定したい色の番号を探してクリック
- メインのスウォッチパネルに、選択した特色が追加される。スウォッチの右下に白地に黒丸のアイコンが表示されていれば設定完了
【Adobe Photoshop の場合】
Photoshopでも特色の指定は可能ですが、画像内の特定レイヤーやチャンネルに対して設定します。
- スウォッチパネルのメニュー(パネル右上)から スウォッチライブラリを選択、目的の色見本帳を探す
- 1以外の方法では、描画色>カラーピッカーと進み、カラーライブラリボタンを押して目的の色見本帳から色を選択
- 選択した色はチャンネルパネルにスポットカラーチャンネルとして独立して追加される
【指定時の注意点:画面の色はあくまで参考】
PCモニターはRGB(光の三原色)で色を表現しているため、画面上で見える特色はあくまでRGBで擬似的に再現された近似色です。金色や銀色といったメタリックインクや蛍光色は、モニターではその輝きや質感を正確に表現できません。
\データ作成のポイント/
最終的な仕上がりの色味は、必ず物理的な(紙の)色見本帳で確認しましょう。デザイナーが画面で見ている色と、印刷会社がインクとして認識する色は色見本帳の「番号」によってのみ一致します。データ入稿の際も、「PANTONE_185_C」のように正確な番号を印刷会社に伝えることが最も重要です。
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